袴田判決に立ち会って感じたこと

神ではないので真実はもうわからない。

なぜ4人の命が奪われたのか、
犯人は誰なのか、動機はなんであったのか?
もうわからないでしょう。

ただ、これまでの経過で袴田さんに関する事実は明らかになったと思う。

「袴田巌さんは命の危機を感じる程の非人道的な取調べの末に自白に追い込まれ、それを裏付けるような証拠が捏造され、それらの証拠に基づいて裁判が行われ、一部の裁判官は無実だと思ったが少数意見で多数決で負け、死刑が確定してしまった。」

そして、「当時のメディアはそれらを疑わず、有罪報道し、袴田さんの家族に市民の激しいヘイトを向かせた」ということは、議論の余地はないと思う。

現代の感覚を当てはめ、責任追及するため過去に遡って関係者を吊し上げるのは、その人の人権はどうした?と思う。
何かを間違ったらその人の人権はないのか?とも思おう。

もちろん、明らかな犯罪をした人は法律が定める処罰がされるべきだけど、錦の御旗を掲げたかのうように社会が群れになって攻撃するのは異常だよ。

さて、違うことも話したいので、根本にある刑事司法の諸問題に、捜査機関、弁護人、裁判所、メディアなど、さまざまな事が絡み合い、冤罪が作られてしまうことが改めてよくわかった。

人は必ず間違えるし、冤罪を訴えている人がいる。

疑いがあるのであれば、真実に近づくため、情報にアクセスでき、より多くの人で検証がなされるべきだと感じる。
そこに必要な議論があって欲しいものだ。

日本では、犯罪者の人権に何か言うのはタブー視されてるように私は感じるけどね。
ただ、犯罪者として有罪になった人を一括りにはして欲しくないものだ。

凶悪事件を起こし揺るぎない直接証拠が揃って有罪になった人と意図せず過失事件で有罪になった人、言葉としては「犯罪者」となるけど、それが同列だとは思わないでしょ?

最後に、暴言しつれいします。

なんだよ、刑事記録の目的外使用の禁止(刑事訴訟法第281条の4)って。
裁判所、検察官、弁護人しか、証拠を見れない。

もちろん、裁判傍聴とかすれば、それぞれの主張ぐらいはわかるけど、中身がわからないじゃん。

メディアも、市民も、第三者が検証できないじゃん。
司法試験も通ってない人らは、素人は議論に参加する権利もないってことですかー。

刑訴法の重要判例を集めた本とか、判例時報とか、季刊刑事弁護ぐらいは、気になるから読むけどさ、
正直、日本語で書かれた別の言語だよ。

一つな言葉をとっても濃縮されていて、かなり難しい。
多分、この辺は医学、数学やサイエンス、工学、ITも同じだと思う。
例で挙げれば、「相対性理論」とか「生成AI」とか、多分言葉はみんな知ってると思う。

だけど、それを「正確」に説明してってなると、どの水準で?ってなると思う。
子供に対してのレベルなのか?
学生に対してのレベルなのか?
社会人に対してのレベルなのか?
学者に対してのレベルなのか?

「相対性理論」とか「生成AI」とか、学者レベルの話になったら、マジ意味わからないよ。

法律もそんな感じでね、刑事弁護だと、それは学者レベルだと感じる。
日本語だけど、その言葉、文章が含む意味はかなり多くの情報を含んでいるんだよね。
しかも言葉自体がとにかく難しい。見たことない漢字がゴロゴロ出てくる。

ただね、その裁判に関する記録が秘匿されるのは、おかしいと思う。
もちろん、記録には捜査のためとしてめちゃくちゃプライベートな情報が出てくるから、
それらは他人に知られたくない。

多分、この辺り諸外国はいろいろな議論の末、制度を変えていってると思うんだけ、
日本の刑事司法はあまり前向きに制度を変えないなーと感じる。